現在、就職活動がうまくいかず悩んでいる外国人の学生の方に正確な情報が届けばと思い、記事にしました。ぜひ読んでみてくださいね。
■質問
東京の専門学校に通うフィリピン人です。3月に卒業する予定で、就職活動をしています。新型コロナウイルスの影響もあり、就職先も少なく、卒業までに就職先が決まらない可能性が高くとても不安です。
もしも、就職が決まらない場合、帰国するしか方法がないのでしょうか。卒業までに就職が決まらなくても半年か1年は滞在できるビザがあると聞きました。また、就職先が見つからなくても日本に滞在できる方法はありますか。
■答え
卒業しても就職先が見つからず、就職活動を継続するためのビザを「特定活動ビザ」といいます。特定活動ビザについて、また、特定活動ビザ以外に日本に滞在する方法について詳しく説明していきます!
特定活動ビザを得るために、まずは、このビザの目的を理解しましょう。
特定活動ビザとは、他の在留資格に分類されない活動を法務省が特別に許可した在留資格で、入管法で「法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動」と定義されています。特定活動はワーキングホリデー、インターンシップ、医療滞在など40種類以上、様々な活動内容があります。
特定活動ビザのうち、日本の大学や大学院、専門学校などに通う「留学生」が、「卒業後」も「引き続き」就職活動を行い、その就職活動を続けることを「学校が推薦する者」にチャンスをあげます、というものを就職活動のための特定活動ビザ(特定活動9)と言います。
学校を卒業した後も、正当な理由なく留学ビザのままで3ヶ月以上在留を続けると、ビザが取り消される可能性があります。卒業後も就職活動を続ける場合は、留学ビザから特定活動ビザ(特定活動9)に必ず変更するようにしましょう。
留学ビザから特定活動ビザへの変更は、1回目は原則6か月の期間が許可され、更にもう1回の更新が許可されると、最長1年間の在留が認められます。
※コロナ禍の特例 現在、新型コロナウイルスの影響から、引き続き就職活動を行う場合には、1年を超えて在留期間の更新が受けることが可能です!!
目的にあう学生であれば、次の6つの必要な要件を満たし、証拠書類を提出することで、許可されることになります。
まず、学校を卒業することが必要です。中退してはいけません。
また、専門学校に通う方は、卒業と同時に専門士の資格を得る必要があります。卒業証明書、成績証明書が必要になります。
継続して就職活動をしていることです。その証拠として、会社に送ったエントリーシートや説明会でもらった資料、面接に関する通知書等は重要です。メールなどで就職説明会や面接の通知を受け取っている場合は、それらを全てプリントアウトしましょう。
不採用でも破り捨てずにきちんと保管してください。入管に提出するのはコピーで構いません。
就職先を見つけるに当たって、大学や専門学校等で学んだ内容が、就職活動先での仕事に活かせるのか、会社での業務内容と学んだこととの関連性があるのかを確認することが大切です。専門学校卒業者は特に厳しく審査されます。
就職が決まっても「技術・人文知識・国際業務」ビザに変更できなければ意味がなくなってしまいます。
※「技術・人文知識・国際業務」ビザについては、こちらで詳しく説明しています。
就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」の要件、不許可事例から学ぶポイント
卒業後、就職活動を継続することについて学校が推薦してくれることです。学校の留学生センター等に確認し、推薦文をもらってください。
就職活動中の経費や生活費のための貯金や仕送りがあるか。貯金や親・親戚の援助があることも大切です。アルバイトに依存せず、きちんと就職活動を継続できなければなりません。
入管には銀行の通帳や仕送りに関する送金証明書などを提出します。特定活動ビザも1週28時間以内の資格外活動許可が認められますが、その時間を超えて働かないと生活が続けられないようではいけません。
学生期間中、資格外活動許可で許された時間を超えて働いていないこと。
※資格外活動許可とは? 資格外活動許可とは、働くことが認められていない在留資格(留学、家族滞在などの在留資格)で在留する外国人の方が、アルバイトをするために必要な許可のことです。在留資格の申請時にあわせて資格外活動許可の申請が必要です。 許可を得れば好きなだけ働けるわけではありません。働ける範囲が決まっていて、週28時間以内と定められています。アルバイトを掛け持ちする場合でも、合計で週28時間以内でなければなりません。
内定後のビザ変更には2つのパターンがあります。
内定後にすぐに採用され就職する場合は、技術・人文知識・国際業務などの該当する就労ビザに変更許可申請をしましょう。就労ビザを取得後、就職先で働くことが出来ます。
※「技術・人文知識・国際業務」ビザについては、こちらで詳しく説明しています。
就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」の要件、不許可事例から学ぶポイント
例えば、9月に内定をもらい翌年の4月に採用され就労を開始するなど、入社までに待機期間が発生する場合があります。このような場合は、「内定待機のための特定活動ビザ(特定活動14)」に変許可申請をしましょう。
内定待機のための特定活動ビザとは、大学等の在学中に就職先が内定した方や、大学等を卒業後、継続就職活動中に就職先が内定した方などが、内定後採用までの期間を日本で過ごすための在留資格のことを言います。内定待機のための特定活動ビザの条件は以下の通りです。
<内定待機のための特定活動ビザの条件>
① 日本の教育機関を卒業したこと、または、日本の教育機関の課程を修了したこと
② 現在、「留学」もしくは就職活動の継続を目的とする「特定活動」の在留資格を有していること
③ 内定後1年以内かつ卒業後1年6カ月以内に採用されること
※コロナ禍の特例 新型コロナウイルス感染症の影響により採用予定時期が変更となるなどして、引き続き在留する場合は、当該期間を超えて在留期間の更新を受けることが可能です。
④ 内定先の活動が、就労ビザの要件を満たしていること
※就労ビザを取得する際と同様の書類を入管へ提出する必要があります。
⑤ 内定者の在留状況に問題がないこと
⑥ 内定者と一定期間ごとに連絡をとること、内定を取り消した場合は遅滞なく地方出入国在留管理局に連絡することについて内定先の企業が誓約すること
就職活動のための特定活動ビザ、内定待機のための特定活動ビザにおいても、留学ビザと同様、資格外活動許可の許可を得れば、週に28時間以内でアルバイトが可能です。
また、就職活動の一環として行うインターンシップの場合などは、1週について28時間を超える資格外活動許可を受けることができますが、資格外活動許可とは別に、「1週につき28時間を超える資格外活動許可」を個別に受ける必要があります。
<継続就職活動大学生の場合>
<継続就職活動専門学校生の場合>
<就職活動日本語教育機関留学生の場合(海外大卒者のみ)>
※「継続就職活動を行っていることを明らかにする資料」とは、「要件2) 継続して就職活動をしていること」で説明した通り、会社に送ったエントリーシートや説明会でもらった資料、面接に関する通知書等のことです。しっかり保管しておき、コピーを提出しましょう。
その他、日本に滞在する方法としては「技術・人文知識・国際業務」ビザ以外のビザの条件に当てはまるしかありません。なお、日本の大学等の卒業生の大多数は就職後、「技術・人文知識・国際業務」ビザに切り替えることが多いです。
中には、日本の学校卒業後、「日本で会社を設立し、ビジネスを開始したい」という方もいらっしゃいます。当てはまるビザは「経営・管理」になりますね。
※「経営・管理」ビザに関しては、こちらで詳しく説明しています。
「経営・管理ビザ」は取得が難しい?要件と注意点、不許可事例付き
新型コロナウイルスの影響から、思うように就職活動もできず大変かと思いますが、最後まで就職活動を頑張ってください!!不安なことや質問したいことがあれば、いつでもお問合せくださいね。
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