配偶者ビザから永住ビザ申請のメリットとポイントとは?よくある質問付き

2021年9月7日

結婚を契機に取得できる「配偶者ビザ」を持ち、今後も日本で長く生活していきたいと望む方の中には、最終的に「永住ビザ」取得を目指す方が多くいらっしゃいます。そこで今回は、配偶者ビザから永住ビザに変更するメリットや取得のポイントについて、よくある質問とともにご紹介します。

配偶者ビザと永住ビザの違い

配偶者ビザは、配偶者の属性によってビザの種類が異なるのに対し、永住ビザは、単独のビザで配偶者の属性等は関係しません。また、配偶者ビザは在留期限があるのに対し、永住ビザは在留期限の定めがありません。

配偶者ビザとは

配偶者ビザとは、結婚を契機に取得できるビザの総称であり、配偶者の属性によって取得できるビザは異なります。代表的なものが以下のビザです。

・配偶者の属性「日本人」 → ビザの名称「日本人の配偶者等ビザ」
・配偶者の属性「永住者」 → ビザの名称「永住者の配偶者等ビザ」
・配偶者の属性「定住者」 → ビザの名称「定住者ビザ」

配偶者ビザは「婚姻の実態があること」、「法的に婚姻状態であること」が必要なため、配偶者と離婚した方、死別された方、婚約者や内縁の妻・夫は含まれません

永住ビザとは

永住ビザとは、本来の国籍を維持したまま、期間の定めなく日本に滞在できることを意味します。また、活動内容の制限なく日本で働くことができます。

永住ビザについて知りたい方はこちらの記事をあわせてお読みください。
永住ビザとは?まず知ってほしい情報まとめ、申請中~取得後の注意点

配偶者ビザから永住ビザ申請のメリット

① 更新の必要がなくなる

日本人の配偶者等ビザ、永住者の配偶者等ビザ、定住者ビザは、在留活動に制限はなくどのような職業にも就くことができますが、在留期間の最長は5年であり、在留期限内に更新し続ける必要があります。一方、永住ビザを取得できれば、在留期限が無期限になるため、申請の手間や不安定さがなくなり、安心して生活を送ることができます。
② 配偶者と離婚や死別した場合でも、在留資格の変更が必要ない

配偶者ビザは「婚姻の実態があること」、「法的に婚姻状態であること」が必要なため、配偶者と離婚や死別した場合には、在留資格を変更する必要があります。永住ビザを取得していれば、このような場合になったとしても在留資格はそのままで大丈夫です。

ただし、永住ビザが欲しいがために婚姻関係を偽装するなどはしてはいけません。もし、永住ビザが取れた後、離婚し、同じ国籍の新しい配偶者と結婚し、配偶者ビザの手続きをする時など、入管は過去履歴を照らし合わせて虚偽の申請がなかったかをチェックします。虚偽があった場合は在留資格を取消しされるケースもあります。虚偽なく、適切な在留を心掛けてください。
③ マイホーム購入のためなどのローンがくみやすくなる

社会的な信用が得られるため、ローンの審査においても優遇されやすくなります。数年で更新が必要なビザの場合、いつ出国してしまうか分からないため、銀行によっては永住ビザ以外の方は審査対象外になっているところが多いです。

配偶者ビザから永住ビザ取得の9つの要件とポイント

結婚相手が日本人の場合、3年以上婚姻関係が継続しており、1年以上日本に在留していること。子であれば、1年以上日本に在留していること

永住ビザの取得には原則として、10年以上継続して日本に在留していること、また、その内の5年以上を「就労ビザ」で在留していることが必要ですが、結婚相手が日本人の場合は要件が緩和され、3年以上の婚姻関係があれば、1年以上引き続き日本に在留していることでこの要件を満たします。また、日本人の実子等の場合は1年以上日本に継続して在留していることでこの要件を満たします。

現在、保持しているビザの期限が最長の在留期間であること(実務上は3年以上の在留期間が必要)

現在持っている在留資格で「1年、3年、5年」といった在留期間が定められていますが、その中で最も長い在留期間が許可されている状態を意味します。現時点では、在留期間3年以上であれば、最長の在留期間として取り扱ってもらえます。

つまり、上記①で、婚姻関係が3年以上継続しており、1年以上日本に在留していることとありますが、現在持っているビザの在留期間が1年の場合、次の更新で在留期間3年が取得できて初めて、永住申請が可能になるということです。

永住ビザにトライするにはまず、現在の配偶者ビザで「在留期間3年」を取得しなければなりません。配偶者ビザの期間の一番多いパターンは、1年→1年→3年と徐々に増えていく場合です。配偶者ビザで3年以上の在留期間を取得していく為には、以下の条件を満たしていることが重要です。

・婚姻生活が安定・継続していること
 夫婦が同居・扶助・協力して、生計を共にしていることが必要です。

・素行が不良でないこと
 法律を犯すことなく、また、税金の支払い等の公的義務を履行していることが求められます。

・独立の生計を営むに足りる資産を有していること
 扶養する配偶者の収入が低い、夫婦どちらも無職の場合は注意が必要です。

・入管法に定める届出等の義務を行っていること
 在留カードの記載事項に係る届出、所属機関等に関する届出などの義務を履行しなければなりません。

申請直前まで長く海外で生活していた事情がなく、生活の本拠地が日本といえること

海外渡航回数が多い場合や海外で過ごしている期間が長いと、永住ビザ申請が不許可になる可能性があります。頻繁に実家への帰省等、渡航回数が多いと永住ビザ申請では不利になります。

やむを得ず渡航する回数が多くなった場合は、渡航理由を書類で説明する必要があります。また、半年以上継続して日本を出国していた場合、永住申請のタイミングは日本帰国後に日本での生活を再開し、半年以上経過後に行うことをお勧めします。

実態の伴った結婚生活を営んでいること

結婚していても実際は別居しているなど、婚姻の実態がなければ永住ビザの取得はできません。手続き上の婚姻手続きだけをしたという状況であれば、永住ビザはもとより、配偶者ビザの更新も不許可になる可能性が高いです。

これまで虚偽の申請がないこと

これまで持っていたビザに対応する適切な活動をやってきたかなどが見られます。日本へ入国後の入国在留歴・就労状況・身分関係が全て再度チェックされます。

自分や配偶者が住民税や健康保険料、年金の支払いを怠ったことがないこと、支払いに遅れたことがないこと

これまで年金の支払いは審査の対象ではありませんでしたが、これからは年金の支払い状況も審査対象となります。会社で社会保険に加入している方や口座からの自動引き落としをしている方は安心ですが、ご自身で支払い義務がある方や個人事業主・会社経営者の方は注意が必要です。※会社経営の場合は、経営する会社が社会保険や納税の義務を適切に行っているかも審査対象になります。

家族が安定して生活できるだけの収入や環境にあること

直近3年間、世帯年収で300万円以上ないと不許可になる可能性が高いです。また、扶養家族が増えた場合には必要年収が増加することになり、1人につき約70万円加算が目安になります。また、自分や配偶者が経営者である場合、経営する会社の事業が安定しているかも審査の対象となります。

本当は母国の親族を扶養していないにもかかわらず、扶養しているものとして支払うべき税金を不正に低くしていないこと

納税者に扶養親族がある場合、その人数に応じて一定額を所得金額から差し引く、扶養控除という制度がありますが、それを偽って利用してはいけません。

その他、法律で定められた義務(特に入管法における各種届出義務等)をきちんと行い、違反や罪を犯していないこと

家族と一緒に永住許可申請を行う場合、家族の法令遵守態度も評価対象です。家族の素行が悪い場合、連帯責任として本人も不許可となることがあります。

※入管法における各種届出義務とは、氏名、国籍・地域、生年月日、性別に変更があった場合、所属機関に変更があった場合、配偶者との離婚等の場合などに、きちんと届出をする必要があることです。

配偶者ビザから永住ビザ申請の必要書類

※申請人が、日本人の配偶者、永住者の配偶者、特別永住者の配偶者、日本人の実子(特別養子縁組を含む)、永住者の実子、特別永住者の実子のいずれかである場合

<申請人の必要書類>

1 永住許可申請書

2 写真(縦4cm×横3cm)

3 身分関係を証明する次のいずれかの資料
(1) 申請人の方が日本人の配偶者である場合
 配偶者の方の戸籍謄本(全部事項証明書)
(2) 申請人の方が日本人の子である場合
 日本人親の戸籍謄本(全部事項証明書)
(3) 申請人の方が永住者の配偶者である場合
 次のいずれかで、婚姻関係を証明するもの
 a 配偶者との婚姻証明書 
 b 上記aに準ずる文書(申請人と配偶者の方との身分関係を証するもの)適宜
(4) 申請人の方が永住者又は特別永住者の子である場合
 次のいずれかで、親子関係を証明するもの
 a 出生証明書 
 b 上記aに準ずる文書(申請人と永住者又は特別永住者との身分関係を証するもの) 適宜

4 申請人を含む家族全員(世帯)の住民票 適宜

5 申請人又は申請人を扶養する方の職業を証明する次のいずれかの資料
(1) 会社等に勤務している場合
 在職証明書
(2) 自営業等である場合
 a 確定申告書控えの写し
 b 営業許可書の写し(ある場合)
(3) その他の場合
 職業に係る説明書(書式自由)及びその立証資料 適宜

6 直近(過去3年分)の申請人及び申請人を扶養する方の所得及び納税状況を証明する資料
(1) 住民税の納付状況を証明する資料
 ア 直近3年分の住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの)
 イ 直近3年間において住民税を適正な時期に納めていることを証明する資料(通帳の写し、領収証書等)
(2) 国税の納付状況を確認する資料
 源泉所得税及び復興特別所得税、申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税、相続税、贈与税に係る納税証明書(その3)
(3) その他
 次のいずれかで、所得を証明するもの
 a 預貯金通帳の写し 適宜
 b 上記aに準ずるもの 適宜

7 申請人及び申請人を扶養する方の公的年金及び公的医療保険の保険料の納付状況を証明する資料
(1) 直近(過去2年間)の公的年金の保険料の納付状況を証明する資料
 ※ 直近2年間において国民年金に加入していた期間がある方は、ア又はイの資料に加え、ウの資料も提出してください。
 ※ 直近2年間の全ての期間において引き続き国民年金に加入している方は、ウの資料を提出してください。直近2年間分(24月分)のウの資料を提出することが困難な場合は、その理由を記載した理由書及びア又はイの資料を提出してください。
 ア 「ねんきん定期便」(全期間の年金記録情報が表示されているもの)
 イ ねんきんネットの「各月の年金記録」の印刷画面
 ウ 国民年金保険料領収証書(写し)
(2) 直近(過去2年間)の公的医療保険の保険料の納付状況を証明する資料
 ア 健康保険被保険者証(写し)
 ※ 直近2年間の全ての期間において引き続き健康保険に加入している方は、イ~エの資料は不要です。 
 イ 国民健康保険被保険者証(写し)
 ※ 現在、国民健康保険に加入している方は提出してください。
 ウ 国民健康保険料(税)納付証明書  
 ※ 直近2年間において国民健康保険に加入していた期間がある方は、提出してください。
 エ 国民健康保険料(税)領収証書(写し)
 ※ 直近2年間において国民健康保険に加入していた期間がある方は、当該期間分の領収証書(写し)を全て提出してください。
(3) 申請される方が申請時に社会保険適用事業所の事業主である場合
 申請時に、社会保険適用事業所の事業主である方は、上記の「公的年金の保険料の納付状況を証明する資料」及び「公的医療保険の保険料の納付状況を証明する資料」に加え、直近2年間のうち当該事業所で事業主である期間について、事業所における公的年金及び公的医療保険の保険料に係る次の資料ア又はイのいずれかを提出してください。
 ア 健康保険・厚生年金保険料領収証書(写し)
 ※ 申請される方(事業主)が保管されている直近2年間のうち事業主である期間における、全ての期間の領収証書(写し)を提出してください。
 全ての期間について領収証書(写し)が提出できない方は、下記イを提出してください。
 イ 社会保険料納入証明書又は社会保険料納入確認(申請)書(いずれも未納の有無を証明・確認する場合)

8 パスポート 提示

9 在留カード又は在留カードとみなされる外国人登録証明書 提示

<身元保証人の必要書類>

(1) 身元保証書

(2) 身元保証人に係る次の資料
 次のa~cを提出してください。
 a 職業を証明する資料 
  在職証明書等、役員の方等は会社の登記簿謄本等
 b 直近(過去1年分)の所得を証明する資料 
  住民税の課税証明書、源泉徴収票の写し等
 c 住民票

よくある質問

「実態を伴った結婚生活」について、夫が仕事の都合で単身赴任しており、月の3分の2は別居しているが、この場合は不許可になってしまいますか?

夫の仕事で単身赴任になっているが、夫婦の交流状況(連絡頻度、扶養など)がしっかりあること、夫婦として実態を伴った婚姻生活が続いていることを説明すれば問題ありません。また、いつまで単身赴任なのか、単身赴任後の夫婦の生活もあわせて説明するといいと思います。

日本人と3年以上婚姻関係が継続しており1年以上日本に在留しているが、現在持っているビザは日本人の配偶者等ビザではなく、技術・人文知識・国際業務ビザです。この場合、永住ビザ申請する前に日本人の配偶者等ビザへの変更が必要ですか?

技術・人文知識・国際業務ビザから日本人の配偶者等ビザへ変更する必要はありません。持っているビザに関わらず、日本人と結婚し3年以上実態を伴った結婚生活が継続していれば、同様の条件を満たすものとされ、現在お持ちの技術・人文知識・国際業務ビザから永住ビザ申請することができます。

どれくらい審査期間がかかりますか?

永住許可申請は、他の在留資格の申請に比べて審査が厳しく、結果が出るまでに時間がかかります。法務省は、申請~結果が出るまで「4カ月」かかると公表していますが、一般的には「6カ月~最長約1年」かかります。現在、永住申請をする方が多いため、6ヵ月以上かかる方も多くいらっしゃります。

永住申請中に、転職をした場合、離婚し再婚した場合等、入管に報告する必要はありますか。

永住申請時に提出した資料、状況が変わった場合には必ず入管に報告する必要があります。入管は、提出された資料で審査をします。
転職の場合:転職先での雇用条件が分かる書類(雇用契約書、在職証明書)を提出しましょう。前職よりもいい場合には、プラスになります。
配偶者変更の場合:配偶者に関する届出を行いましょう(離婚後14日以内にする必要があります)。また、説明書を入管に提出しましょう。

以上になります。

配偶者ビザから永住ビザ申請をお考えの方は参考にしてみてくださいね。自分は条件に当てはまるか?など不明点やお困りのことがございましたらご相談ください!

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